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スザクとクリスマスの夜の出来事、その2。
* * * * *
12/25 PM9:50 大学寮 自室
大学寮の自室に戻って明かりを灯すと、蛍光灯の光ががらんとした室内を白々しく照らした。
置いてある家具は細いパイプで出来た簡易ベッドと小さなライティングデスクだけ。
それだけでも『名誉ブリタニア人』の僕には十分すぎる物なのだと思う。
「なにか食べるもの、あったっけ・・・」
ぼそぼそと独り言を呟いて学生鞄をあさると、昨日ゲットーのスーパーで買ったコッペパンを発見した。
鞄に押し込んでいたせいで多少つぶれてはいるけれど、中味の方は問題ない。
薄いビニールを破ってかぶりつくと、ぱさついたパンが口の中に貼り付いた。
コップに水道の水を汲んで、パンの塊と一緒にごくりと飲み下す。
正直、味はよくなかった。さすがスーパーに売っている中で一番安いパンだけある。
・・・とりあえず、お腹が膨れさえすれば何だっていいのだ。
「セシルさんの料理より、ちょっとはいいかな」
失礼な事を呟いて、一人、部屋の中で笑った。
当たり前だが、返答を返してくれる人はいない。
乾いたパンを囓りながら、どうしてこれが鞄の中に入っていたのかを思い出した。
久々に登校した学校でいつものように適当に昼食をすませようとしたら、いきなり怒り出したのだ――――彼が。
『おまえ、まさか毎日そんな物を食べてるんじゃないだろうな!?』
『・・・え?いつもじゃないけど、よく食べてるよ?』
『この馬鹿・・・!いいか、次から俺が弁当作ってやるから・・・今日は、それを食べろ!』
そう言うと、彼は僕の目の前に自分の弁当箱を叩きつけて、学食を出ていってしまったのだ。
呆然としていると、隣に座ったリヴァルが『それ食わないと、たぶんもっと怒ると思うぜ?』と言って笑ったのを思い出す。
「・・・ルルーシュの作った卵焼き、美味しかったな」
コッペパンの最後のひとかけを飲み下して、僕は再び独り言を呟いた。
昨日はあれから『仕事』で、洗ったお弁当箱をリヴァルに預けて出てきたから、お礼もちゃんと言えていない。
明日も明後日も勤務があるし、学校にちゃんと行けるのは3日後になるだろう。
空になったコップを眺めながら、僕は思わずため息をついた。
――――今、ルルーシュはどうしているだろう。
きっとクリスマスの今日は、ナナリーと温かい食卓を囲んで笑い合っているに違いない。
7年前の、3人で過ごした日々を思い出そうとして僕はかぶりを振った。
今はもう昔とは違う・・・ルルーシュやナナリーとは住む世界が違うのだ。
固いベッドに横たわって、僕はぼんやりと天井を見つめた。
このまま眠ってしまいたい気分だけれど、部屋の時計を見ればそれにはまだ少し早い。
勢いを付けて起きあがると、床に放り出したままの鞄を拾い上げて教科書を取り出す。
休んでいる分、少しでも勉強して遅れを取り戻さなければ進級も危うい。
鞄の底からノートを引っ張り出した時、挟まっていた小さな紙がひらりと足元に舞った。
「ん・・・なんだこれ?」
スザク
日時: 12月25日 PM6:30~
場所: 生徒会室
絶対時間厳守!
拾い上げた白いメモ用紙には、赤いペンで日時と場所が記されている。
見覚えのある綺麗な字は・・・恐らくルルーシュのものだ。いつの間にこんな物が入れたのだろう。
「絶対時間厳守!」とあるが、既に時刻は10時10分前。
スザク、と書いてあるが、そもそも自分宛かどうかもわからない。
しばらくメモを見つめて、僕は足早に戸口へと向かう・・・自分への言い訳を山ほど考えながら。
ちょっと様子を見に行くだけだ、だから、だから――――
<07-12-24>
12/25 PM9:50 大学寮 自室
大学寮の自室に戻って明かりを灯すと、蛍光灯の光ががらんとした室内を白々しく照らした。
置いてある家具は細いパイプで出来た簡易ベッドと小さなライティングデスクだけ。
それだけでも『名誉ブリタニア人』の僕には十分すぎる物なのだと思う。
「なにか食べるもの、あったっけ・・・」
ぼそぼそと独り言を呟いて学生鞄をあさると、昨日ゲットーのスーパーで買ったコッペパンを発見した。
鞄に押し込んでいたせいで多少つぶれてはいるけれど、中味の方は問題ない。
薄いビニールを破ってかぶりつくと、ぱさついたパンが口の中に貼り付いた。
コップに水道の水を汲んで、パンの塊と一緒にごくりと飲み下す。
正直、味はよくなかった。さすがスーパーに売っている中で一番安いパンだけある。
・・・とりあえず、お腹が膨れさえすれば何だっていいのだ。
「セシルさんの料理より、ちょっとはいいかな」
失礼な事を呟いて、一人、部屋の中で笑った。
当たり前だが、返答を返してくれる人はいない。
乾いたパンを囓りながら、どうしてこれが鞄の中に入っていたのかを思い出した。
久々に登校した学校でいつものように適当に昼食をすませようとしたら、いきなり怒り出したのだ――――彼が。
『おまえ、まさか毎日そんな物を食べてるんじゃないだろうな!?』
『・・・え?いつもじゃないけど、よく食べてるよ?』
『この馬鹿・・・!いいか、次から俺が弁当作ってやるから・・・今日は、それを食べろ!』
そう言うと、彼は僕の目の前に自分の弁当箱を叩きつけて、学食を出ていってしまったのだ。
呆然としていると、隣に座ったリヴァルが『それ食わないと、たぶんもっと怒ると思うぜ?』と言って笑ったのを思い出す。
「・・・ルルーシュの作った卵焼き、美味しかったな」
コッペパンの最後のひとかけを飲み下して、僕は再び独り言を呟いた。
昨日はあれから『仕事』で、洗ったお弁当箱をリヴァルに預けて出てきたから、お礼もちゃんと言えていない。
明日も明後日も勤務があるし、学校にちゃんと行けるのは3日後になるだろう。
空になったコップを眺めながら、僕は思わずため息をついた。
――――今、ルルーシュはどうしているだろう。
きっとクリスマスの今日は、ナナリーと温かい食卓を囲んで笑い合っているに違いない。
7年前の、3人で過ごした日々を思い出そうとして僕はかぶりを振った。
今はもう昔とは違う・・・ルルーシュやナナリーとは住む世界が違うのだ。
固いベッドに横たわって、僕はぼんやりと天井を見つめた。
このまま眠ってしまいたい気分だけれど、部屋の時計を見ればそれにはまだ少し早い。
勢いを付けて起きあがると、床に放り出したままの鞄を拾い上げて教科書を取り出す。
休んでいる分、少しでも勉強して遅れを取り戻さなければ進級も危うい。
鞄の底からノートを引っ張り出した時、挟まっていた小さな紙がひらりと足元に舞った。
「ん・・・なんだこれ?」
スザク
日時: 12月25日 PM6:30~
場所: 生徒会室
絶対時間厳守!
拾い上げた白いメモ用紙には、赤いペンで日時と場所が記されている。
見覚えのある綺麗な字は・・・恐らくルルーシュのものだ。いつの間にこんな物が入れたのだろう。
「絶対時間厳守!」とあるが、既に時刻は10時10分前。
スザク、と書いてあるが、そもそも自分宛かどうかもわからない。
しばらくメモを見つめて、僕は足早に戸口へと向かう・・・自分への言い訳を山ほど考えながら。
ちょっと様子を見に行くだけだ、だから、だから――――
<07-12-24>
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