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生徒会オールメンバーで運動会イベントのお話、ことのはじまり編。

* * * * *




こ  と  の  は  じ  ま  り




「あーあ、夏も終わって、すっかり涼しくなっちゃったわねえ」
机上に書類の束を放り出すと、ミレイが椅子の上で大きく伸びをした。
「もう秋よ、秋!」
「・・・仕事してくださいよ、会長」
どこか諦めた風を漂わせながらも、一応といった様子でルルーシュが釘を差す。
「わかってるわよ!・・・で、秋と言えばぁ、」
ちっともわかってない、とルルーシュが低く呟くのを無視して、ミレイが続ける。
「食欲の秋っ!」
リヴァルが勢いよく椅子から立ち上がって叫んだ。
「やっぱ食い物でしょ!果物もうまいし、あったかい物も食べたくなるし!」
「はい、却下」
「えーっ、なんでーっ!」
意見をあっさりと棄却されたリヴァルが悲痛な声を上げる。
「あんたねえ、食欲は女の敵なのよ!?太るじゃないの!そんなのダメっ!」
ダメって言われても、と肩を落として呟くリヴァルを打ち捨てて、ミレイが再び続けた。
「秋と言えば、」
「はい会長!芸術の秋、です!」
シャーリーがまっすぐに手を上げて元気に答えた。
「もうすぐクロヴィス様の定められた芸術週間でしたよね!」
「うんうんシャーリー、いい答えね!でも、ちょっと違うのよねぇ・・・」
違うって何が、と首を捻るシャーリーの隣でルルーシュが眉をひそめた――――何か嫌な予感がする。
「で、秋といえば!」
「ええと・・・秋といえば、」
「秋といえば、読書の秋だな!」
考えながら口を開いたスザクを遮って、何かを察知したルルーシュが力強く断言した。
「秋は涼しくなって、静かに本を読むのに最適だ。本はいい・・・知識を深めるのは学生の本分だ」
「うん、そうだねルルーシュ。それから、」
「スザク、おまえは黙ってろ」
いつになく厳しい口調でルルーシュがスザクを睨み付けた。スザクが驚いたように目をしばたかせる。
「さっすが頭脳派ルルちゃん、でもやっぱり違うのよ・・・というわけで、はいスザク!」
ルルーシュを気にした様子もなく、びしりとスザクを指差してミレイが問い掛けた。
「秋といえば!」
「スポーツの秋・・・ですか?」
「はい正解~!」
戸惑ったようなスザクの答えに、ぱちぱちと拍手をしながらミレイが満面の笑みを浮かべた。
会長の笑顔に反して、ルルーシュの眉間の皺がますます深まる。
「おいスザク、これ以上は・・・」
「ああそうですよね、よかった・・・ブリタニアでもスポーツの秋って言うんだ」
スザクが安心したように明るい笑顔を浮かべる。
再び遮ろうとしたルルーシュが、どこか嬉しそうなスザクの言葉に小さく呻いて押し黙った。
「そういえば、アッシュフォード学園には運動会とかないんですか?綱引きとか、玉入れとか・・・」
「運動会?」
スザクの素朴な疑問にミレイが目の色を変えた。しまったやはり、とルルーシュが呟く。
「えっと、だから運動会でやるじゃないですか、リレーとか、騎馬戦とか・・・」
「・・・枢木スザク、」
ミレイの改まった呼び掛けに、思わずハイと返事をしてスザクが背筋を正す。
「採用っ!」
「はあ!?会長、一体何を言い出すんですか!」
いち早くミレイの意図を理解したルルーシュが椅子から音を立てて立ち上がる。
副会長の叫びをさらりと受け流すと、ミレイは役員全員の顔を見渡して、厳かに宣言した。
「秋といえばスポーツの秋・・・というわけで、来週は生徒会主催で『アッシュフォード学園・大運動会』を開催します!」
「「「ええーっ!?」」」
やっとの事で事態を飲み込めた周囲が絶叫する。
腕を組んだミレイは一人満足げに頷くと、スザクの肩をぽんぽんと叩いて言った。
「面白そうじゃないの、スザク・・・綱引き?玉入れ?・・・実にいい企画だわ!後で何をどうするか教えて頂戴」
「・・・あ、はいっ!」
未だ事態をよく飲み込めていないスザクが素直に頷く。
「スザク・・・この馬鹿っ・・・」
体を震わせつつ低く呟いたルルーシュに、スザクが不思議そうに首を傾げた。



<07-10-02>
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