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スザクとルルーシュ、ほのぼの系閑話幻想話。
* * * * *
03.異 変
「へ・・・・・・ル・・・ルルーシュ!?」
「うるさい、声が大きい」
黒猫は紫に輝く瞳を細めると、鋭い目つきでスザクを睨み付けた。
スザクは椅子に近づき、身を屈めると間近でじろじろと黒猫の全身を眺める。
「そうか・・・ルルーシュ、猫になっちゃったのか――――――――なんて言うと思う?」
スザクはにっこりと笑うと、いきなり猫の口元に手を引っかけた。
その口をこじ開けようと、乱暴に黒猫を懐に抱え込む。
「うわっ、い、いたたたっ!何するんだ、いきなりっ!」
「驚かそうっていったってそうはいかないよ・・・ふーん、このロボット、よくできてるなあ」
「やめろ、このバカ・・・!痛い、離せっ!」
力任せにあちこちをひっぱるスザクに、黒猫は暴れてその手に思い切り爪をたてる。
「あ痛っ、」
スザクは思わず猫の体を放り出した。
黒猫はひらりと身を翻すと、身軽に絨毯が敷かれた床の上に降り立つ。
「まったく・・・やっぱり乱暴な所は変わらないな、おまえは」
手の甲ににじみ出した血をまじまじと眺めた後、呆れたように呟く猫を見つめてスザクは呆然と呟く。
「まさか・・・本当に、本当のルルーシュなの!?」
「だから、さっきからそう言ってるだろ」
ため息まじりの声は、確かに目の前の猫の口から聞こえてくる。
にわかには信じがたい事態に、スザクは恐る恐る黒猫に手を伸ばした。
今度は壊れ物を扱うかのように、そっと小さな額や前脚に触れる。
黒猫は嫌な顔をしながらも、おとなしく身を任せた。
しなやかな毛の感触と伝わる体温、神経質に震える耳、瞬く瞳――――どうみても本物の猫、だ。
「何これ!?どうなってるわけ、いきなり!?」
「うるさい、俺が知るか!朝、目が覚めたらこうなってたんだ!」
思わず叫んだスザクに、負けじと大声でルルーシュが怒鳴り返す。
絶句するスザクを見上げ、黒猫が重々しい口調で続けた。
「有り得ない現象だが、実際に自分が体験している事だからな・・・否定するわけにもいくまい」
黒猫、もといルルーシュは、自分で自分を納得させるように一人で頷いている。
スザクは眉根を寄せて、その傍らに膝をついた。
「確かにそうだけどさ・・・とりあえず、病院にでも行った方がいいんじゃない?」
「・・・おまえは俺を研究所送りにしたいのか?」
ルルーシュは低く唸ると、机の上にあるノートパソコンを前脚で示した。
「可能性については、朝から全て洗い出した。残念ながら、このような症例は他に例がない」
そりゃあ他にはないだろう、と心の中で答えつつ、スザクは猫がパソコンを覗き込んでいる姿を想像して口元を緩ませる。
ルルーシュはそんなスザクに気付くことなく、一人でぶつぶつと呟きながら事態の考察を続けた。
「・・・つまり毒物の可能性は限りなく低い。となると、やはりこれはギアスの影響なのか・・・」
「ぎあ・・・何?」
「いや、なんでもない・・・まったく、肝心な時にあの女は見つからないし!」
忌々しそうに吐き捨てたルルーシュの言葉に、スザクが無邪気な笑顔で食らいついた。
「ああ、例の彼女?」
「・・・なっ、彼女じゃない!」
「え、違うの?じゃあどういう関係?」
「何だっていいだろ!とにかく今はこの状況をどうするか、だ!」
ルルーシュが全身の毛を逆立てるのを見て、スザクは肩をすくめて追求を諦める。
「とにかく!ナナリーに余計な心配をかけるわけにはいかない」
「そうだね。びっくりしちゃうだろうな、ナナリー」
「そこで、原因を究明するまで俺は家を出る・・・おまえ、一人暮らしだったよな」
「うん、そうだけど」
「じゃあ、おまえの家に厄介になる。軍の情報もほしいからな。好都合だ」
「えっ!?無理だよ、そんなの!」
独断で次々と決定していくルルーシュに、スザクは思わず声を上げた。
小さな黒猫はその声に肩を震わせ、勢いをなくして俯く。
「・・・ああ、うん・・・そう、だよな、やっぱり・・・」
「あっ、いや家に来るのはいいんだけど!軍の情報っていうのはちょっと・・・」
「おまえ、技術部なんだろう?どうにか軍のデータベースにアクセスできないのか?」
「いや・・・僕は下っ端だからね・・・」
ランスロットの専属デヴァイサーである事を告げるわけにもいかず、スザクが口ごもる。
瞳の色を翳らせてルルーシュがぽつりと呟いた。
「無理を言ってるのはわかってる・・・できれば、でいい。今は何でもいいから情報が欲しいんだ。もしこのまま・・・」
途切れた言葉をそのままに、ルルーシュは何かを振り切るように首を振って再びスザクを見上げた。
「・・・とりあえず、おまえの家には行っていいんだな?」
「うん、それはもちろん」
「じゃあ決まりだ、すぐに移動する。机の上にあるノートパソコンと携帯、それと財布を持ってきてくれ」
ルルーシュは四つ足で立ち上がると、いつもの強い口調でてきぱきと指示を出す。
スザクがバッグにパソコンを詰めるのを見届けると、尻尾を真っ直ぐに立てて部屋の出入口へと促した。
「よし、行くぞスザク」
「・・・あ、ちょっと待って」
「早く!」
ルルーシュはスザクを急かして閉ざされた扉の前に走る。
扉の前に立った黒猫は、その細い前脚で重厚な木で出来た旧式のそれを押した。
もちろん扉はびくともしない。
ドアノブに気がつき、2、3度飛びついたが全く届かず、爪が扉をひっかく音だけが小さく響く。
しばらく扉とにらみ合った後、ルルーシュは憮然とした顔でスザクを振り返った。
「・・・・・・スザク」
「なに、ルルーシュ」
「・・・・・・・・・笑ってないでドアを開けろ」
「笑ってない・・・うん、笑ってないよ・・・」
「くそっ、覚えてろよスザク」
笑いをこらえてドアを開けるスザクの耳に、低い声で毒づく親友の声が届いた。
<07-05-27>
03.異 変
「へ・・・・・・ル・・・ルルーシュ!?」
「うるさい、声が大きい」
黒猫は紫に輝く瞳を細めると、鋭い目つきでスザクを睨み付けた。
スザクは椅子に近づき、身を屈めると間近でじろじろと黒猫の全身を眺める。
「そうか・・・ルルーシュ、猫になっちゃったのか――――――――なんて言うと思う?」
スザクはにっこりと笑うと、いきなり猫の口元に手を引っかけた。
その口をこじ開けようと、乱暴に黒猫を懐に抱え込む。
「うわっ、い、いたたたっ!何するんだ、いきなりっ!」
「驚かそうっていったってそうはいかないよ・・・ふーん、このロボット、よくできてるなあ」
「やめろ、このバカ・・・!痛い、離せっ!」
力任せにあちこちをひっぱるスザクに、黒猫は暴れてその手に思い切り爪をたてる。
「あ痛っ、」
スザクは思わず猫の体を放り出した。
黒猫はひらりと身を翻すと、身軽に絨毯が敷かれた床の上に降り立つ。
「まったく・・・やっぱり乱暴な所は変わらないな、おまえは」
手の甲ににじみ出した血をまじまじと眺めた後、呆れたように呟く猫を見つめてスザクは呆然と呟く。
「まさか・・・本当に、本当のルルーシュなの!?」
「だから、さっきからそう言ってるだろ」
ため息まじりの声は、確かに目の前の猫の口から聞こえてくる。
にわかには信じがたい事態に、スザクは恐る恐る黒猫に手を伸ばした。
今度は壊れ物を扱うかのように、そっと小さな額や前脚に触れる。
黒猫は嫌な顔をしながらも、おとなしく身を任せた。
しなやかな毛の感触と伝わる体温、神経質に震える耳、瞬く瞳――――どうみても本物の猫、だ。
「何これ!?どうなってるわけ、いきなり!?」
「うるさい、俺が知るか!朝、目が覚めたらこうなってたんだ!」
思わず叫んだスザクに、負けじと大声でルルーシュが怒鳴り返す。
絶句するスザクを見上げ、黒猫が重々しい口調で続けた。
「有り得ない現象だが、実際に自分が体験している事だからな・・・否定するわけにもいくまい」
黒猫、もといルルーシュは、自分で自分を納得させるように一人で頷いている。
スザクは眉根を寄せて、その傍らに膝をついた。
「確かにそうだけどさ・・・とりあえず、病院にでも行った方がいいんじゃない?」
「・・・おまえは俺を研究所送りにしたいのか?」
ルルーシュは低く唸ると、机の上にあるノートパソコンを前脚で示した。
「可能性については、朝から全て洗い出した。残念ながら、このような症例は他に例がない」
そりゃあ他にはないだろう、と心の中で答えつつ、スザクは猫がパソコンを覗き込んでいる姿を想像して口元を緩ませる。
ルルーシュはそんなスザクに気付くことなく、一人でぶつぶつと呟きながら事態の考察を続けた。
「・・・つまり毒物の可能性は限りなく低い。となると、やはりこれはギアスの影響なのか・・・」
「ぎあ・・・何?」
「いや、なんでもない・・・まったく、肝心な時にあの女は見つからないし!」
忌々しそうに吐き捨てたルルーシュの言葉に、スザクが無邪気な笑顔で食らいついた。
「ああ、例の彼女?」
「・・・なっ、彼女じゃない!」
「え、違うの?じゃあどういう関係?」
「何だっていいだろ!とにかく今はこの状況をどうするか、だ!」
ルルーシュが全身の毛を逆立てるのを見て、スザクは肩をすくめて追求を諦める。
「とにかく!ナナリーに余計な心配をかけるわけにはいかない」
「そうだね。びっくりしちゃうだろうな、ナナリー」
「そこで、原因を究明するまで俺は家を出る・・・おまえ、一人暮らしだったよな」
「うん、そうだけど」
「じゃあ、おまえの家に厄介になる。軍の情報もほしいからな。好都合だ」
「えっ!?無理だよ、そんなの!」
独断で次々と決定していくルルーシュに、スザクは思わず声を上げた。
小さな黒猫はその声に肩を震わせ、勢いをなくして俯く。
「・・・ああ、うん・・・そう、だよな、やっぱり・・・」
「あっ、いや家に来るのはいいんだけど!軍の情報っていうのはちょっと・・・」
「おまえ、技術部なんだろう?どうにか軍のデータベースにアクセスできないのか?」
「いや・・・僕は下っ端だからね・・・」
ランスロットの専属デヴァイサーである事を告げるわけにもいかず、スザクが口ごもる。
瞳の色を翳らせてルルーシュがぽつりと呟いた。
「無理を言ってるのはわかってる・・・できれば、でいい。今は何でもいいから情報が欲しいんだ。もしこのまま・・・」
途切れた言葉をそのままに、ルルーシュは何かを振り切るように首を振って再びスザクを見上げた。
「・・・とりあえず、おまえの家には行っていいんだな?」
「うん、それはもちろん」
「じゃあ決まりだ、すぐに移動する。机の上にあるノートパソコンと携帯、それと財布を持ってきてくれ」
ルルーシュは四つ足で立ち上がると、いつもの強い口調でてきぱきと指示を出す。
スザクがバッグにパソコンを詰めるのを見届けると、尻尾を真っ直ぐに立てて部屋の出入口へと促した。
「よし、行くぞスザク」
「・・・あ、ちょっと待って」
「早く!」
ルルーシュはスザクを急かして閉ざされた扉の前に走る。
扉の前に立った黒猫は、その細い前脚で重厚な木で出来た旧式のそれを押した。
もちろん扉はびくともしない。
ドアノブに気がつき、2、3度飛びついたが全く届かず、爪が扉をひっかく音だけが小さく響く。
しばらく扉とにらみ合った後、ルルーシュは憮然とした顔でスザクを振り返った。
「・・・・・・スザク」
「なに、ルルーシュ」
「・・・・・・・・・笑ってないでドアを開けろ」
「笑ってない・・・うん、笑ってないよ・・・」
「くそっ、覚えてろよスザク」
笑いをこらえてドアを開けるスザクの耳に、低い声で毒づく親友の声が届いた。
<07-05-27>
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