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続くか続かないか書いてる人もよくわからない、スザルルほのぼのパラレル小話・その3。何となくファンタジーぽくなる予定。ちゃんと続いたらまとめてWorksの方へ放り込みますので、それでも可!という方のみどうぞ。

今回も降ってきませんでした。(・・・)

この鼓膜に突き刺さる前衛的な着信メロディは一体いつ設定されたのだろう。携帯のディスプレイにも名前は表示されていない。だがしかし、人の携帯を好き勝手にいじり倒し、そして日本国首相・枢木ゲンブの圧力に屈しない人物といえば・・・思い浮かぶのはただ一人しかいない。着信ボタンを押した瞬間、携帯から響いてきた声にスザクは自分の予想が的中した事を知った。
「もしもし、スザクお兄様?神楽耶ですわ!ご機嫌いかがかしら」
『お兄様』という言葉に、スザクは胸を撫で下ろした。これは神楽耶が機嫌のいい時の呼び方だ。向こうの方が年下なのだが、普段は『スザク』と呼び捨てにされている。一番恐ろしいのは『あなた』と呼び掛けられた時だ。一見丁寧だが、この呼び方をする時は神楽耶の機嫌が最悪な時で、大概恐ろしい無理難題をスザクに吹っ掛けてくる。今までどれだけ酷い目に合わされたことか---スザクがこの年下の従姉妹に振り回されるのには理由があった。
「神楽耶・・・えーと、どうしたの、何か用?」
「あら!用がなければ電話してはいけませんの?妻に向かって、あまりに冷たい言葉じゃありませんこと?」
つま、とスザクは口の中で呆然と繰り返した。何度聞いても実感が湧かない・・・というか、あまり実感したくない事実だ。
神楽耶とスザクは親同士が決めた許婚の間柄にある。いわゆる『政略結婚』というやつだ。この小生意気で食えない少女は、実は日本を裏から支える皇家の当代当主を勤めているのである。もちろん後見人として日本産業界のドンと呼ばれる桐原泰三がついているのだが、幼いながらに聡明でカリスマ性を持っていると評判で、将来は名実共に日本の女帝として君臨するだろうともっぱらの噂である。しかし噂は噂、スザクにとっては底意地の悪い、幼なじみの従姉妹に他ならない。今までも相当な目に合わされてきたが、もし結婚して一緒に暮らすことになったら一体どうなる事か・・・恐ろしい想像にスザクは身を震わせた。そんな婚約者の様子を知らず、神楽耶が可愛らしい口調で続ける。
「スザクお兄様、ゲンブおじさまと喧嘩して家出なさったんでしょう。わたくし、どうしてらっしゃるか心配になって電話したんですのよ」
「えっ!?父さんひょっとしてカグヤにまで連絡入れたのか?」
「いやですわ、そんなはずありませんでしょう」
オホホホと高らかに神楽耶が笑った。確かに、あの計算高い父親が格上の皇家にこんな騒動をむざむざと晒すはずがない。スザクが首を傾げると、神楽耶が自信たっぷりに言った。
「当然、『妻の勘』ですわ。夫の事はな~んでもお見通し、ですのよ?」
んなわけあるかい、とツッコミたいところだが、よくよく考えてみれば色々と恐ろしい台詞である。心身の健康のために深く考えるのはよそう、とスザクは思った。
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